「あれは昔、ローマがまだ全盛の頃のキリスト教聖職者の式服です」 「へぇ~」 あたしは、何の疑問も抱かずにただ頷いた。 「それで、彼は、何をあなたに?」 「えっ?」 「あなたと彼は、ここで何を話されたのですか?」 「話っていうか…… あたしがちょっと落ち込んでこの教会に入り込んだ時、たまたまこのステンドグラスを眺めてたら、突然声をかけられたんです」 「で?」 「で、あたしの願いを聞いて頂きました」 「なるほど」 「その願いが叶ったので、お礼がしたくて今日来たんです」