St. Valentine's Dayの奇跡



時計が六時半を指した。

そろそろ帰ってくる頃だ。


シノブはここから1キロほど離れた自然公園まで行って、そこを一回りして帰ってくる。

往復で約30分のコース。

それからあいつは家に戻って、多分、筋トレする筈。


何でそんなこと知ってるかって?

あたしも一二度、一緒に走ったことあるから。

でも、あいつのペースは速くて、とても追いつけなかった。

あたしに合わせてペースを落としてくれる訳でもない。


ま、あいつにしてみたら、トレーニングの為に走ってるわけで、そんなことしたら意味なくなっちゃうもんね。


馬鹿らしい。

だから、止めた。