キュウッと締め付けられる胸。

あたしって、心臓こんなに弱かったっけ?



こみ上げる涙を、あいつに悟られまいと

あたしは、思わず駆け出した。


「シノブくん、最低!」


忍に向かって毒ずく舞の声が遠くに聞こえたけど、もう戻るに戻れない。

あたしは、ズンズンと人混みを掻き分け前へと進む。

涙で視界がボヤけて良く見えない。

兎に角、あいつから離れなきゃ。

できるだけ遠くへ、できるだけ……



大通りを渡って、図書館のある路地へ入って……

曲がって、曲がって……

そして、そこは見覚えのある行き止まり。




小さな教会が目の前に現れた。