「そう。じゃ、勇輝?」


気なり呼び捨てかよ!


とは、この状況では言えず、聞き返す


「なんだよ、雪乃」


ささやかな反撃のつもりだった


「少しかがみなさい?やりにくくて仕方ないわ」


「あ、わりぃ」


「・・・よし、できたわ」


無事ネクタイをまけて満足した表情の雪乃


「なんか、窮屈だ・・・・」


正直な感想を述べたものの、折角まいてもらったのに悪いかな?と、思ったが・・・・


「最初はそんなものよ、徐々に慣れるわ」


そんな、想像もしてなかった返事を返される


「に・い・さぁ~ん?」


甘ったるい声色の俺を呼ぶ声


ギギィー。そんな、ブリキのおもちゃが振り向いた音の様に、ぎこちなく後ろを振り返る


「へぇ~可愛い妹を置き去りにしてお兄さまは女の子にちょっかい出して、早くも青春真っ盛りなんですかぁ~」


笑顔で猫なで声とは裏腹に拳をワナワナさせている我が妹


「ひ、ひな・・・・よ、喜べ、ひな!実はこの娘は、俺達の生き別れの妹なんだ!!」


「ふふ~ん(*^▽^*)兄さんのバカ! 死んじゃえ! この糞、ロリコン!!」


ガスッ ゴスッ バキッ


地面にこき倒された俺は雪乃に問いかける


「な、なぁ、雪乃」


「何かしら?」


「校内暴力は停学対象、だよな?」


「さっきのは、ただの痴話喧嘩としかとられないでしょうね」


「ガクッ」