天使の羽衣

「天文部ねぇ…」

俺は手に握られたカギを眺めながら、呟いた。

『4年が引退したから、今日からお前が部長だ』

そのようことを、さっきの教授から告げられたのは、1ヶ月前のことだった。

その頃の俺は、今と変わらずヒキコモリ大学生だったわけで、天文部には籍だけが存在する、いわゆる幽霊部員になっていた。

『どうして、俺なんですか』

当然湧き上がる疑問だった。

『3年の部員がお前しかいないからだ』

ため息混じりに教授はそう言った。

そういえば思い出す。
天文部の部長は最高学年の部員が勤める決まりらしい。

その日から俺は、幽霊部員兼部長という不思議な立場になった。

「はぁっ」と、ため息をつく。

「どうして…こんなことになっちまったんだろ」

前にも同じ台詞を言ったような気がした。