天使の羽衣

――ガンッ!

という金属音で、扉の鍵が閉まっていることを知ったのは、もちろん俺の予想通りのことで、しかしそれはまるで俺たちの侵入を拒んでいるかのように思えた。

「健一くん、天文部の部長だったよね」

あまり聞きたくない言葉を麻衣ちゃんが言う。

「一応はね」俺は否定しない。
次にどんなことを言われるか分かっていた。

「部長なら、ここのカギ借りてこられるよね」

「分かったよ。でも――」俺は付け加える。
「今すぐには無理だ。天文台は夜にしか使えない」

「分かった!それじゃ、今夜9時にここに集合。決まりね」

断る隙を与えないその言葉に、俺はただ頷くしかなかった。

今夜9時か。

ふと、俺は思い出す。
たしかその時間、俺の好きだったドラマの再放送があるんだっけ。しかも不運なことに今日は最終回ときたもんだ。

――不幸だ…。

俺が落胆する中、麻衣ちゃんはニコニコとはしゃいでいた。

その様子を眺めるうちに、その言葉は、ごく自然に俺の口から発せられた。


「――ま、いっか」



昨日と同じ青空が、今日は少しだけ鮮やかに感じられた。