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屋上のフェンスにまたがり、今にも飛び降りようとする俺を、少女は必死に押さえつけていた。
「死んでやる!死んでやる!」
「ダメだよ健一くん。いくら社会の底辺で生きる役に立たないヒキコモリでも、死んでいい理由なんてないよ!」
さりげなく俺の心をえぐった少女は、それでも俺に死んでほしくはないらしく、俺の上着をひたすら引っ張った。
このまま無駄なあがきをしても、よけい虚しくなるだけだと思ったので、俺はあきらめてフェンスから手を離す。
少女と俺は、地面にへたり込んだ。
とはいえ、どうしても心に惨めさが残る俺は、
「死のうと思えば、いつでも死ねるんだし」
と、子供くさい意地を張った。
少女は、「健一くんは死なないよ」と笑った。
