天使の羽衣

大ウソをついたところで、所詮は天文部の女。もう二度と会うことはあるまい。俺とは関係ないのだ。

さあ言え、俺。
『そうそう、俺天文部――』というんだ。

うまく言えば、むしろ少女に尊敬すらされるかもしれない。
たとえ偽りの俺であってもいいさ。今日一日だけの、つかの間の喜びを味わってやる!

今日から俺は大ウソつきだ、こんちくしょう。

「健一…くん?」

やばい。彼女に怪しまれ出す前に言わねば。きっぱりさっぱり言うのだ。
『そうそう、俺天文部――』と言ってやるぜ!

俺は深く深呼吸し、そうして言った。

「そうそう、俺……」

「あー!やっぱり健一くんかぁ。あの不登校の」

「そうそう!不登こ………え?」

『あの不登校の』彼女は確かにそう言った。


―――あぁ。


「………ばれてたの」



俺は今すぐ死のうと思った。