突然、窓の外が明るくなった。

駅に到着したのだ。

電車の扉が開くと、駅の騒がしい空気が車内を満たしていく。

青梅駅。どうやらこの地域の主要駅らしい。

乗客たちが、我に返ったように立ち上がり、乗降口へと向かう。

彼らが去っていった車内は、がらんとして先ほどまでの光景が嘘のようだった。

この先、終点まで大きな都市はない。

残った乗客は俺も含めて、数えるほどもいない。

広々とした座席に、俺はようやく腰を下ろすことができた。

車掌の長い笛ののち、扉が閉まる。

乗客数名のためだけの無駄な電力を使って、電車は再び動き出した。