天使の羽衣

「ねえ!」
と少女は、俺を見つめる。

俺はハッと我に返り、あたりを見渡す。

「さっきから様子が変だけど、どうしたの?病気?」

病気…。
その言葉はいささかショックではあったが、俺は思う。

そうさ、俺は病気なんだ。五月病というね。

五月病は俺の脳を腐らせ、俺をヒキコモリにしたんだ。

怖い病気なんだぜ。人間の一生をダメにする重病だ。

と、そんな考えはもちろん声に出さなかったが、俺は、

「あ、あぁ。ちょっと考え事…」

と、我ながら上手くごまかした。