天使の羽衣

屋上を見渡す。

屋上といえば、何もないだだっ広い場所を想像しがちだが、実際は貯水タンクやそこから伸びる配管、さらにここでは大きな天文台があり、意外にも狭苦しい印象を受ける。

それでも、空を眺める意味では屋上は魅力的な場所に他ならなかった。それに屋上には、めったに人が来ない。

横になって空を仰いでみる。
絵に描いたような青空だった。

屋上を吹き抜ける風は、真夏の強い日差しを和らげてくれるようで、案外快適である。
妙に落ち着いて、いろいろな事が頭の中をかけめぐる。

なぜだろう。なんだか悲しくなってきた。