天使の羽衣

親の仕送りで、ただ生活費を浪費するだけの存在。生きる価値のない人間になった。

世の中の幸せな人間は、俺のような人をヒキコモリと呼ぶらしい。

――そんなことは分かってるさ。こんな状態が良くないってことくらい。

「……はぁ」

俺はそっと立ち上がり、まだ講義中の教室を抜け出した。

分かってるさ。分かってる。

だけど、こんな自分をどうにかしようという度胸も勇気も行動力も、今の俺は持ち合わせていない。

だからこうするしかないんだ。こうしかできないんだ。


現実から逃げるしか―――