天使の羽衣

さらに歩みを進めると、どこからともなく、ラジオの雑音にも似た不協音が聞こえてきて、それは進むにつれだんだんと大きくなっていった。

そして、突如――

周りの気温が、わずかに低下したかと思うと、それは現れた。

周囲に、深い霧とともに永続的な重低音をまき散らし、吸い込まれそうになるほど見事に立ちはだかる、白い水の巨塔。

それは、百尋の滝と呼ばれていた。

遥か上から流れ落ちるその滝を前にして、俺は呆然と立ち尽くした。

――あの日と全然変わっていない。

美しかった。
月明かりと小さな懐中電灯だけでも、よく分かる。