「やっぱり違うね。高いところから見る景色は」


観覧車が昇っていくにつれ、遊園地全体がみえてくる。

ちらほらと歩いている人々。

引っ切り無しに走るジェットコースター。

全てが、小さい。





「圭、今日は付き合ってくれてありがと。楽しかったよ」
「……俺も」


お互いカオは合わせない。

反対の窓を眺めていて。

静かな空間が生まれていた。





1番高い位置に着きかけた頃、圭が言葉を発した。





「なあ、佳奈恵。……俺と結婚してくれないか」
「……え?」





聞き間違えたのかな、わたし。

結婚、…って聞こえたんだけど。






「高校を卒業したら、俺と一緒になってほしい」


……どうしよう。

本気だ、圭。





「け、結婚って……。わたしたち、まだ付き合って一ヶ月も経ってないよ?!」


わたしは戸惑っていた。

だって、結婚なんて……。




考えたこともなかったし、まだ関係も……。

……浅くはないか。





じゃなくて!





「ねぇ圭、本気で言っているの?」
「本気だ」


わたしの目に映る圭は、いつもとは別人なのに、その言葉が嘘だとは思えないよ……。





「……佳奈恵」