「佳奈恵は結局、いくじなしかぁ〜〜」

…諦めるなんて…

「諦めるなんて誰も言ってないでしょっ?!」

はっ…。
やってしまった。
さっきまで歓声でうるさかったのが、一気に静まりかえってしまった…。

みんなこっち見てるし…。
これは早く移動した方が良さそうかな……。
ふと、群衆の方に目を向けると、長崎先生までこっちを見ているのがわかった。
まずいっ!

「ユリちゃん、早く体育館いこ!!」
「えっ?ちょ、ちょっっと」

わたしはユリちゃんの腕を思いっきり引っ張って歩き出した。
心の中で、『片思い上等っ』なんて叫びながら。