「あぁ、疲れたぁ!!」


ベンチに座り込み、叫ぶわたし。

しかし、圭はそんな様子も見せず、ベンチの脇に立ち尽くしている。





遊園地に来てから、圭といろんなモノに乗った。

ゆったりした子供向けのモノから、絶叫系のアトラクションまで。

お化け屋敷だって入ったし、昼食はレストランで食べた。





全部が圭とわたしの二人の思い出。

……二人っきりの。





わたしたちはユリちゃんたちを忘れていたし。

……ううん。

思い出しても、どっちも言わなかった。

圭もわたしも、二人きりを望んでいたから。

二人でいたかったから。





「夕日、綺麗だね」
「…だな」


二人を包むのは、オレンジの光の塊。

目の前に広がるのは、夕日色に染まる観覧車。





二人の時間はあっという間で、もう日が暮れる頃になっていた。

人も朝と比べたら、格段に減っている。



そろそろ帰らないとまずいかも。

ユリちゃんたちも心配だし。





「ねぇ、そろっと帰らないとじゃない?」


わたしは夕日に染まる圭に言う。





「最後に、あの観覧車に乗らないか?」


圭は疲れ果てたわたしに言う。

真っ直ぐな瞳を、オレンジに輝かせて。