「うわ、やっぱり人多いね!」


園内で見えるのはほとんどが人。

まあ、新しくできたばっかだから仕方ないけどさ。

同じ学校の生徒に会わなきゃいいけど…。





「なにから乗ろうか?」
「うーんと……」


圭の機嫌は直ったのかな?

瞳の色は、優しさしか見えないんだけど。

こんなときまでSキャラだったら、わたしが持たないよ!




「え、わあ!キースくんだぁ!!」


わたしは圭と繋がれた手を解き、ある一点にむかって小走り。

わたしの目に映っているのは、『キースくん』。

この遊園地のマスコット。


まだまだ新人キャラクターだけど、若い女性達から人気を集めているらしい。

確かに、キースくんは女性受けしそうな可愛さだし。





「キースくん!握手して下さい!」


無言で手を握るキースくん。

…いや、正確に言えばキースくんをかたどった着ぐるみなんだけど。

キースくんの手は、ゴワゴワでモコモコ。





「ほら、佳奈恵行くぞ」
「ひゃっ」


わたしのキースくんと繋がれていた手は、するっと圭の手にすり替えられる。

圭はちょっと拗ねたようなカオ。







……これって、ヤキモチですか?