『佳奈恵、ウチくる?』


圭の甘い誘いに、わたしは何も考えず頷いてしまった。


そして、今は圭の車の中。



今考えると…、
彼氏の部屋ってやばくないか?!



経験の浅いわたしは、ちょっとエッチな妄想を巡らせていた。


「……え、佳奈恵、ついたよ?」
「あっ、はいっっ」


やば、圭の声聞こえてなかった!


圭はわたしの間抜けな返事を聞いて、笑いながら助手席のドアを開く。



「どうぞ、お嬢様」


〜〜!
やっぱ、今日の圭は甘甘だぁ!


圭の笑顔にキュン、としながら車を降りた。



「え゛、圭の家ってここ?!」

わたしの視界に広がっていたのは、いかにも高そうなマンション。


…あ。
圭、お金持ちなんだっけ。


「こっちだよ」

圭は目を丸くしているわたしに、手を差し出した。


わたしはその手に、自分の右手を絡める。



てつなぎ鬼だってやったのに。


その時以上に緊張するのは、圭も同じなのかな。



表情を読み取ろうとして圭のカオを覗いたけど、メガネが邪魔でわからなかった。