バシッ。

わたしの左手が圭の背中を直撃。

ばっかじゃないの、こいつ!!


「ははは…。佳奈恵は力、強いなぁ」

そう言いながら、わたしの頭を撫でた。

圭の笑顔は痛みで崩れている。


……あんなことされた後なのに、圭を可愛く思うわたしはどうかしてるよ。

それに…。
キスを気持ちいいと思うなんて。


「帰ろうか、佳奈恵」

圭は車の鍵を指で弄び、送っていく…と合図した。


こくん。

…とだけ頷き、わたしたちは歩き始める。


歩幅の小さいわたしに合わせて圭はゆっくり歩いてくれて。


Sだったり甘えん坊だったり。

優しさももっている圭。

いつもクールな人だと思っていたから、さっきの圭は新鮮だった。


きっと、今まで見た圭は全て本当の圭だろう。

まだわたしの知らない圭もいるのかもしれない…。

これからゆっくり圭を見ていきたい。




そんなことを考えながら、隣を歩く圭の靴を眺めていた。