ちゅっ…

軽いリップ音が耳に入ってきた。

もしかして…
キスされたの、今!?


「俺、恋愛に関してはクールじゃいられないから。覚悟してよ」
「〜〜〜〜ッッ!!」

恥ずかしいセリフいわないでよぉ!!!


そんなわたしに、圭はまたちゅっ…と軽くキスをくれた。

二回とも目をつむる暇もないくらい一瞬だったけど。

なんか…
キス慣れしてる? 圭。


「ふっ。また明日、な。佳奈恵」
「うっ、うん」

動きが停止していたわたしのかわりに、圭がドアをあけた。

4月とは言ってもまだ涼しくて、車内に冷たい空気が入ってくる。


「じゃあな」
「……ばいばい」


あの甘い雰囲気が名残惜しいなぁ。

窓を開けて、そこからカオを出している圭を見て、そう思う。


「?」

圭は立っているわたしの右手を掴んできた。

「ぃたっ」

その直後、手の甲にチリっとした痛みが走った。


「俺のモン、って印。明日まで消すなよ?」

バイバイ、と言って圭は行ってしまった。

ボー然とするわたしを置いて。


ふと、右手に視線を落とすと…

「ぎゃああっ! なに、コレ!?」

そこには赤い跡。

そう、キスマークがはっきり着いていたのでした。