好きな人とは、一秒でも多く一緒にいたいって思うもん…。

あ―、切ないなぁ。


「時間も調度いいし、もう帰るか?」

長崎先生は、腕時計を見ながら呟いた。

そっか、今日は始業式だけだっけ。


「佳奈恵ぇ、あたし先帰るよぉ?」
「えっ、ユリちゃん?」

ユリちゃんが帰り際に発したのは、冷たい一言。

よく聞けば、今日は例の彼氏とデートなんだってさぁ。


「わかったよ。また明日ね」

しょうがなく、わたしは一人で帰る道を選んだ。

はー。早く仕事終わらせて帰ろうかな!


確か、『理科室に集合』って言ってたかな。

理科室って…。
あの悪夢の教室じゃんか!
もしかして、先生はわたしを苦しめようとしてわざと…!?

…なワケないかぁ。


とにかく、やるしかない状況にいるわたしは、重い足を理科室に向けて歩き出した。



―――理科室に到着しましたけど。

ふぅ。はぁ…。
よし! 覚悟はできたぞ!!

佳奈恵、いっきまーす!

―コンコン。

「どうぞ」
「し…失礼、します」


理科室の中を覗くと、すでに岡本くんが先生の向のイスに座っていた。

それを見て安心したわたしは、岡本くんの隣に座ることにした。


「えぇと…。二人には来週にある新入生歓迎会の準備をしてほしいんだ」