しかし、あたしは彼のトラップにもうハマっていたのだ。


「あのー、あたし彼氏できちゃったんで辞めまーす!」


女子たちは続々と辞表をあたしに渡しだす。


そう、あたしが正木悠太に喫茶店やら水族館やら付き合わされていたとき


正木悠太に仕える男子共が男敵団の女子をいっぺんに口説いていたのだ。



ちくしょっ…完全にハマっちまった…。


トラップはそれで終わりではなかった。



「奈津子!生徒会長とデートしてたんだって~!羨ましい~!」


ユキナが学校新聞を持ってあたしのほうへ走ってきた。


「あ?デート?」


「ほら、ここ。」


ユキナが指さす写真にあたしと正木悠太が水族館に入ろうとしている所だった。


隣に載っている記事を読むとあたしと正木悠太が付き合っているというガセネタが書いてあった。



「師匠…敵のボスと交際を…?」


いつの間にか目の前にいたあずさが涙目であたしを見る。


あたしは腹が煮えくり返って、新聞をぐっしゃぐしゃのビッリビリにして投げ捨てた。




「奈津子!どこ行くの?!」


「正木悠太のところ!」


なーにが甘いマスクの統率者だ!!


そのマスク、踏みつけてやる!!!!!