しかし、引っ掛かったのはただの紙袋。
「僕が引っ掛かると思った?」
ニコッと笑う蘭があたしの隣にいた。
「蘭…。」
ダメだ…蘭は捕まらない。
「でも、急にどうしたの…?僕にトラップを仕掛けて。」
分かってるくせに。
何もかも分かってるくせに。
「あたし…蘭がこわい…。」
叫ぶように言う声は震えていた。
蘭はあたしを見て首をかしげる。
「蘭…すぐにどっか行っちゃうじゃん。
ふらふら出歩いたら戻ってきたり…ずるいよ…。」
泣かないように下唇を噛んだけどダメだ、涙が出てくる。
「それが…本音?」
蘭の問いにあたしは大きくうなずく。
「じゃあ…」
蘭は空を見上げる。



