ミッドナイト・スクール

……その頃、信二、魅奈、冴子の三人は図書館に来ていた。
「こんな所に謎を解くヒントなんてあるんですか?」
魅奈がか細い声で冴子に尋ねる。
「いや、そうじゃなくてさ。お目当てはコイツ」
そう言って冴子がコンコンと叩いたのは、図書館にあるパソコンだった。
「パソコンで何をするつもりなんだ?」
「インターネットを使うのさ」
電源をONにすると見馴れたマークが表示され、パソコンが起動しはじめた。
「おいおい、インターネットに繋ぐにはユーザーのパスワードが必要な筈だろう? そんなのわかるのか?」
「わからなかったら、こんなむだな事はしないさ。私の友達の図書委員の奴がパスワードを知ってるんだけど、私もたまにここで一緒にホームぺージを見たり、チャットに入ったりして遊んでるんだ」
パソコンの事はまるで無知な魅奈には、冴子の言ってる事が殆ど理解出来なかったようだ。
「学校のパソコンを使うとは悪い奴等だな。司書さんにバレるんじゃないのか?」
「いや、司書さんは『どうせ校長はパソコンの事は何もわからないから大丈夫』ってね。まあ話のわかる人だよ」
言いながら、マウスでインターネットのアイコンを開き、パスワードを入力し、接続した。
「へー、司書さんがバックについているとは頼もしいな」
空手使いの冴子とパソコンという妙な組み合わせだが、意外なもの程その距離は近いという事だろうか?
さっきから話に入れない魅奈は、二人だけの会話に少し嫉妬をした。
自分もパソコンをやっていればよかった。そうすれば信二との会話のネタにもなるし、友達同士でメールだの、パソコン通信だので会話が出来る事は少なからず知っていたから、パソコンを通して信二との会話も楽しめたかも知れない。