……部室棟は正門の近く、プールに面した場所にある……が、三人がプールに着くと、そこから見えるはずの部室棟が見えなかった。見えるのは……闇。普段なら小さな建物があるはずの所を暗い闇が支配していた。
「これは……、まずいぞ。ゴッチー、ユリ、急いで戻るんだ!」
和哉は体育館の……裏門で見た、あの地獄のような光景を思い出して叫んだ。
闇の中からは予想通り、正体不明の腕が伸びて来ている。
「なっ、なんだこの手は?」
「話は後だ、校舎に戻れ!」
慌てて校舎へと引き返し、和哉は二人に裏門での事について簡潔に述べた。
「そうか。それじゃあ外への脱出はやっぱり不可能……どうにかして校舎内で決着をつけなくちゃならないって訳だ」
「あ、もうすぐ一時よ。とりあえず私たちの受け持ちは全て回ったわ。そろそろ信二君たちも戻っているかも知れないし、会議室へ行きましょう」

