校舎へと戻った一行は、再び二手に分かれた。
一刻も早く、何らかの手掛かりを掴まなくてはならない。

A班 和哉、後藤、ユリ。(管理棟、部室棟)
B班 信二、魅奈、冴子。(HR棟、別館)

連絡手段は冴子と和哉の携帯電話だけだ。
一時に管理棟の会議室に集まる約束をすると、六人は行動を開始した。

……ここ、管理棟では和哉、後藤、ユリの三人が、職員室へと足を踏み入れていた。
「これか、例のファックスは」
床に広がる長い紙切れを拾い上げ、和哉はため息をついた。
その紙切れは、悠子へ死の宣告を告げたファックスだ。
職員室は先程と特に変わった所はなく、静寂だけが支配していた。何かが潜んでいる気配はなく、もうファックスや電話が鳴り出す事もなかった。
「だめね、やっぱり電話は通じないわ」
受話器を耳に当てたまま、ユリは二人に報告した。
「ここには特に手掛かりは無いようだな。どこか儀式を行えそうな場所ってあるか?」
後藤が二人に意見を求めた。
「儀式を行う場所……」
和哉は頭をひねり、考え込む。
「ふむ。科学実験室なんてどうだろう?」
「何でだ?」
「いや、科学実験室には、色々な実験器具があるだろうから、何となくね」
「ここでじっとしていても仕方ないわ。とりあえず、科学実験室にも行ってみましょうか」
ユリは先頭に立ち、職員室を後にした。