……体育館の入口へは直ぐに着いた。グラウンドからは何やら叫び声が聞こえて来る。
「ああっ先輩! ドアノブの所に針金が……」
こちらに向かって、観音開きの造りになっているドアには、両方のノブに針金が絡められており、とても聞けられる状態ではなかった。
「くそ、ここまで来て入れないのか!」
悔しさで信二はドアを殴った。
「落ち着いて信二君。そこの体育教官室に何か道具があるはずよ、私が見て来るわ」
ユリは部屋へ入って行くと、直ぐにペンチを見つけて来た。
パチンパチン。
「よし、切れたわ。後は絡まっているのを外すだけよ」
「よし、直ぐに外すぞ……あ、いてっ!」
ペンチで切った針金の先で信二は指を刺してしまった。
「あいてててて、指刺しちゃったよ。ユリ、もう少し何とか切れないのか?」
「無理よ、これ以上はペンチが届かないわ。後は素手で解くしか……魅奈ちゃん!」
二人を押しのけて、魅奈がドアノブを握った。
「よせ魅奈ちゃん、指を切っちゃうぞ! 俺に任せるんだ」
「いいえ、信二先輩。時は一刻を争うんです。ここは手の小さい私に任せて下さい」
確かに、男の信二は手が大きいからやりにくいだろうし、手袋をしているユリが絡まりを解くのも難しい。魅奈はそう判断しての行動だった。
……慎重に、それでいで迅速に。魅奈はかつてない程の大役を背負っていた。
「ああっ先輩! ドアノブの所に針金が……」
こちらに向かって、観音開きの造りになっているドアには、両方のノブに針金が絡められており、とても聞けられる状態ではなかった。
「くそ、ここまで来て入れないのか!」
悔しさで信二はドアを殴った。
「落ち着いて信二君。そこの体育教官室に何か道具があるはずよ、私が見て来るわ」
ユリは部屋へ入って行くと、直ぐにペンチを見つけて来た。
パチンパチン。
「よし、切れたわ。後は絡まっているのを外すだけよ」
「よし、直ぐに外すぞ……あ、いてっ!」
ペンチで切った針金の先で信二は指を刺してしまった。
「あいてててて、指刺しちゃったよ。ユリ、もう少し何とか切れないのか?」
「無理よ、これ以上はペンチが届かないわ。後は素手で解くしか……魅奈ちゃん!」
二人を押しのけて、魅奈がドアノブを握った。
「よせ魅奈ちゃん、指を切っちゃうぞ! 俺に任せるんだ」
「いいえ、信二先輩。時は一刻を争うんです。ここは手の小さい私に任せて下さい」
確かに、男の信二は手が大きいからやりにくいだろうし、手袋をしているユリが絡まりを解くのも難しい。魅奈はそう判断しての行動だった。
……慎重に、それでいで迅速に。魅奈はかつてない程の大役を背負っていた。

