……二人は引き返そうとした時に奇妙な音を聞いた c
 ヒタッ、ミシッ、ヒタッ。
「まずいな、逃げるぞユリ」
二人は例の径物の足音を聞いて、慌てて生徒会室を飛び出た。
「どっちだ……まずい、昇降口の方からだ」
「北側に行ったら姿を見られるわ、南側へ行くのよ」
小声で二人は話し、足音を立てないようにして南側へと向かった。
「どっちに入る?」
ユリが聞く。
南側には、書道室と1年A組の教室がある。
「書道室だ、そっちなら隠れる場所がある」
「分かったわ」
和哉はドアを聞けようとした……が、ドアはカギがかかっていて関かない。
「くそ、開かない!」
「利哉君、こっち!」
ユリは足元の風通し用のドアを関けて、書道室に入った。
「よし」
和哉もそこから中に入り、ドアのカギを掛けた。
……ミシッ、ヒタッ、ミシッ。
教卓の陰に隠れて息を殺す二人。
……ミシッ、ヒタッ、ミシッ。
ドアの覗き窓越しに、怪物が通り過ぎて行くのを二人は見た。
「よかった、気づかれなかった」
ユリは安堵のため息をついた。
その直後!