……闇……。

校舎内を覆う閣は今夜も静寂を保っている。ただし、今夜はいつもとは少し違った。ある一室では別の青白い光……というよりは、むしろ炎と言でも言うべき光が満ちていた。
床に描かれた魔法陣……と思われる神秘的な図形の中央から、その光は溢れていた。魔法陣の前には儀式に使われるであろう様々な物が置いてある。カエルの目玉、ヘビの抜け殻、コウモリの羽、ニワトリの生き血……その他に、奇妙な道具や古ぼけた一冊の本が置かれている。
何かの儀式が行われているようだが、材料や雰囲気から、その儀式が善ではなく悪を示している事は一目瞭然だった。
儀式は深夜まで続いた。学校側の警備員が気づく事はなかった。それは儀式を行っている者の細工によるものかも知れないし、あるいは既に儀式により奇妙な力が働いていたのかも知れない。

とにかく、ただ言える事は……『惨劇はここから始まった』という事である。