信二たちはカギを手に入れると、再び教科室の前へとやってきた。幸運な事に、教科室の周りには死神も怪物もいないようだった。……いや、本当のところ、嘘のように気配がしない。今までは離れていても、校舎内のどこかしらを徘徊しているだろうという、気配というか妖気というか、とにかく何かを感じていたのだが、今はそれがまるっきり消え去っていた。
「やけに静かですね」
教科室の前に全員が集まった。信二はユリからカギを受け取り、鍵穴にカギを差し込んだ。
 ガチャリ。
信二はドアを横にスライドさせた。
 カラカラカラ。
まだ目の前には暗幕がかかっている為、部屋の中は見る事が出来ないが、暗幕の下からは薄く青い光が漏れている。
「やっぱり何かあるようだな」
信二は思い切って暗幕を引き開けた。
次の瞬間、先頭の信二と魅奈の視界に、神秘的な光景が現れた。
……ガランとした室内に大きく描かれた魔法陣。そして、その周りには数々の奇妙な道具やら書物やらが置かれている。
中に入った和哉や冴子も、思わずため息を漏らしている。
「……魔法陣から光が出てる」
グッ、と信二の腕を抱えたままの魅奈が魔法陣を指さす。
「どうやら、あの怪物はここから召還されたようだな」
手前の小さな台には、何かの魔術書のような物が乗っており、それの開かれていたページには、悪魔召喚の方法が記されているようだった。
「でも、これではっきりしたわね」
「何がだ?」
突然のユリの言葉に和哉が問いかけた。