「紗英?」 和彦の静かで低い声が耳に届く。 「とりあえず上がったら?」 「いや……ここでいい……」 私の胸がドキドキと鳴り始める。 愛する人が目の前にいるドキドキじゃない……。 「紗英?」 もう1度、和彦が私の名前を呼ぶ。 「ん?」 「俺……紗英のこと……好きだよ。愛してるよ……」 「う、うん……」 それを言うために、わざわざ来てくれたの? 「あのさ……紗英……」 「うん……何?」 和彦が私の目を見て口を開いた。