「私ね……私……海陽が……」
樹里はそう言うと、ベンチから立ち上がり、俺に抱きついてきた。
そして……。
「好きなの……」
と、胸に顔を埋めたまま呟くようにそう言った。
俺に抱きついたまま顔を上げる樹里。
「ずっと……海陽のことが好きだったの……」
そう俺の顔を見て言った樹里の目には涙がいっぱい溜まっていた。
「ゴメン……」
俺は樹里の体をそっと離す。
「樹里とは……これからも幼なじみでいたい……」
「そっか……。私、失恋しちゃったんだね……」
樹里が泣き笑いの顔でそう言った。
「ゴメンな……」
「謝らないで?謝られたら虚しくなっちゃうじゃん。でも何かスッキリした。これからも幼なじみとしてよろしくね」
樹里は笑顔で俺に手を差し出した。
「あぁ……」
俺は樹里の手に俺の手を重ねた。