「あの……音楽の水島先生って、海陽のお母さんに似てるよね……」 樹里はアスファルトを見つめたまま、そう言った。 「最初に見た時さぁ……そう思ったんだよね」 樹里はそう言って、アスファルトから顔を上げて俺を見た。 そして……。 「海陽もそう思わない?」 と、俺に同意を求めてきた。 「そうだな……」 俺は樹里に目を合わせることなく、そう呟いた。 「だから音楽室にいつも行ってるの?」 「さぁな……」 俺は樹里をチラッと見ると、再び呟くようにそう言った。