震える手で、音楽室のドアを開けた。 私の目に飛び込んできたのは、ピアノを弾く1人の男子生徒。 茶色い長めの髪。 長めの髪から覗く左耳にはピアスが光っている。 切れ長の目に整った眉。 筋の通った高い鼻。 形のいい薄い唇。 色白の肌。 制服を崩して着ている彼は、俗に言うイケメンだ。 ピアノを弾く真剣な眼差しに"ドキッ"としてしまった。 でも……何で? 恐怖心から解放された私の手から鞄と鍵が落ちた。 鞄と鍵が落ちた音と同時にピアノの音が止まった。