―海陽Side― 音楽室を出た俺は、下駄箱で靴を履き変えて、校門に向かった。 「あっ!海陽!」 俺に気づいた樹里が笑顔で手を振ってる。 「お前さぁ……。いつ俺が待っててくれって頼んだ?」 「別にいいじゃん。私が海陽と一緒に帰りたいから待ってただけ」 樹里が俺の腕に自分の腕を絡めてくる。 そんなことするから……勘違いされるんだろ? 俺は樹里の腕を解こうとしたけど、余計に力を入れてくる樹里。 …………ったく! 俺は小さく舌打ちをして、樹里に腕を絡められたまま校門を出た。