「星野くん?帰らなくていいの?」



私は電源を落としたパソコンを鞄にしまいながらそう言った。



「帰って欲しい?」



別にそういう意味で言ったんじゃないんだけど……。



「彼女が待ってんじゃない?」



私は椅子から立ち上がって、窓のとこまで行って、校門を出る生徒を目で追った。



「彼女?」



星野くんはそう言って、私の隣に並ぶ。



「俺は彼女いないけど?前にそう言ったじゃん」


「そうだっけ?でも……ほら、あの子……」



私は校門の前に立っている1人の女子生徒を指差した。


いつも星野くんと一緒に登下校してる女子生徒。


星野くんは私の指差す方向に目をやる。



「あの子、星野くんの彼女でしょ?アナタのこと待ってんじゃない?」


「あぁ……アイツは彼女じゃないよ。ただの幼なじみ。俺はアイツには恋愛感情はないよ」


「そうなんだ……」



彼女がいないのは本当だったんだ……。


でも、あの子に対して星野くんは恋愛感情がなくても、あの子は多分、星野くんが好きなんだろうな……。