土曜日は泊まらないことになってる。
だからお酒は飲まない。
少しゆっくりしたら奥さんの元に帰ってしまう。
お酒を飲むのは、泊まる平日のみ。
それをわかっててお酒を勧めるなんて……。
「やっぱり今日の紗英はおかしいよ」
「そんなことないって!あっ!旅行どうする?」
「あぁ!それなんだけど……」
和彦は鞄からノートパソコンを取り出した。
「温泉なんてどう?」
立ち上げたパソコンを操作しながら言った。
「温泉?」
「あぁ、ここなんだけど……どうかな?」
和彦はパソコンを私の方に向けた。
温泉旅館のホームページ。
天然温泉と料理が美味しいと評判の旅館。
スイートルームには専用の露天風呂までついている。
土日祝日には温泉にバラの花を散らした温泉が楽しめる。
「素敵ね!」
「だろ?そう言ってくれると思って、実はもう予約してあるんだ」
「えぇ!そうなの!?」
「あぁ、5月3日と4日にね」
「ありがとう!楽しみだわ」
私はクスッと笑った。
和彦が奥さんに何て理由で旅行に行くのかわからない。
でもゴールデンウイークに和彦と旅行に行けるのが嬉しかった。
奥さんより私を愛してくれてる。
そう思っていた……。