しばらくして、玄関のチャイムが鳴った。
来た!
同時に治まっていた胸のドキドキが再び鳴りだす。
リビングから玄関の廊下が長く感じる。
玄関の前で深呼吸をしてドアを開けた。
春らしい薄いピンク色のワンピースを着て立っている和彦の奥さん。
腰まであるストレートの黒い髪。
少し吊り上がった大きな目。
細身で色白の肌。
美人ってよりは可愛らしいって言葉が合う。
「突然、すいません」
彼女は少し俯き、小さな声でそう言った。
「いえ……あ、どうぞ?」
私はそう言って、スリッパを出した。
「お邪魔します」
彼女はそう言って中に入り、黒のパンプスを脱ぐと、スリッパを履いた。



