インターホンのカメラに1人の女性が立っていた。


私より少し上に見える。


20代後半くらいの女性。


誰?



「あの…………」



私はインターホン越しに声をかけた。


何だか落ち着かない様子の女性。


オロオロしてるって言うか……。
何だか挙動不審な感じ。



「あの……私……」



可愛らしい声がインターホン越しに聞こえた。



「失礼ですけど……どちら様ですか?」


「私……一宮(イチミヤ)の家内です……」



一宮とは和彦の名字。


えっ?


和彦の奥さん?


どうして?


どうしてうちを知ってるの?


どうして?


目を見開きインターホンの画面を見つめる。


胸が"ドキドキ"激しく鳴る。


和彦からのメールを開く前のように……電話に出る前のように……。


恐れていたことが……現実になった瞬間だった――。