ピアノか……。
本当は、小さい頃からピアノを習っていて……。
コンクールで何回か優勝したこともあった。
母親のようにピアニストになるのが夢だった。
それは母親の夢でもあった。
親子で一緒に世界で演奏するのが俺と母親の夢だった。
だから小さい頃から厳しい練習にも堪えた。
物心ついた時から母親と2人暮らしで……。
父親は仕事の関係で海外にいると聞かされて育った。
母親がいなくて寂しかった気持ちも我慢してきた。
全ては夢を叶えるために……。
でも……母親が死んでからはピアノを弾くことを止めた。
それは……夢が叶わなくなったから……。
あの日……音楽室で久しぶりに弾いたピアノ。
なぜ、ピアノを弾いたのか……自分でもわからなかった。
母親との思い出が蘇ってきた。
そんな時、先生が音楽室に入って来た。
先生からピアノを習っているのか聞かれた時、習ってないと嘘をついた。
咄嗟に出た嘘。
それは……俺の過去が知られると思ったから……。
先生には俺の過去を知られたくなかったんだ……。
―海陽Side end―
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―お知らせ―
56ページの山下先生のセリフを修正しました。
はい、またいつもの勢いで書いちゃったら、これじゃー話しが合わんだろ!ってことに気づいてしまいました(^^;)
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんm(_ _)m