「で、何か用か?」
「あ?あー、そうそう!次、うちのクラス体育でしょ?」
「あぁ」
「あんた今日、日直でしょ?体」
「そう言えば……」
日直だってこと、完璧に忘れてた。
「ツッチーが手伝ってほしいことがあるから早目に体育館に来て欲しいって」
「あー?めんどくせー!」
ツッチーとは体育の先生。
名字が土田(ツチダ)だから生徒からツッチーと呼ばれている。
「ちゃんと伝えたからね!サボるんじゃないわよ!じゃーよろしく」
「わかったよ!」
ここ体育館裏だから、時間までここにいようかな?
って、制服のままじゃダメか……。
「あっ!海陽!」
教室に帰っていた樹里が振り向く。
「ん?」
「ママがね、またうちにご飯でも食べに来いって!久しぶりに海陽のピアノが聴きたいみたいよ。じゃーね!」
「あぁ、ありがとう」
俺は笑顔で手を上げる。
樹里は走って、教室に戻って行った。