―海陽Side―
昼休み――。
俺は晶斗(アキト)と教室で弁当を食べていた。
晶は高校に入学した時に仲良くなった。
3年間、同じクラスで俺の親友。
「今日の弁当は誰の?」
「ん?これ?これは……A組の咲(サキ)ちゃんだったかな?」
女の子用の可愛い弁当箱。
ご飯の上に、桜でんぶで作ったハートが乗っている。
毎日、女子の誰かが弁当を持って来てくれる。
晶斗が言うには、女子の間で俺に弁当を渡す順番が決まってるらしい……。
両親がいない俺には、毎日違う手作り弁当が食べれるのが、ありがたかった。
「海陽はいいなぁ……。女子にモテてさぁ……。日替わりで女子の手作り弁当が食べれるなんてさ。あだ名が王子ってのも頷けるな。お前って"山田太郎ものがたり"の山田太郎だな」
晶斗がクスッと笑う。
そう言う晶斗も手作り弁当を食べている。
晶斗には2年生の麻美(アサミ)ちゃんという可愛い彼女がいる。
その麻美ちゃんが毎日、晶斗のために弁当を作ってくれるらしい。
「晶斗には麻美ちゃんがいるじゃん。麻美ちゃんの手作り弁当を食べてるくせに何言ってんだよ」
「まぁな」
晶斗がニカッと笑って、赤いタコさんウインナーをフォークで突き刺していた。



