「あっ!山下先生?」
「はい」
「3Cの星野くんって……どんな生徒なんですか?」
「王子ですか?」
お、王子!?
「王子って……」
「王子は星野のあだ名」
山下先生は食べ終えたお弁当箱をお弁当袋に入れながら言った。
「あぁ……」
あの容姿……そう呼ばれるのもわかるような気がする……。
「水島先生、星野に興味があるとは?」
「い、いえ……ただ、放課後によく音楽室でピアノを弾いてるので……どんな生徒なのかなぁって……」
「容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、おまけに生徒会長。女子生徒からはモテまくり、あだ名は王子。羨ましいヤツですよ」
山下先生は言い終わった後、ハハハと笑っていた。
「そうなんですかぁ……。ピアノも上手いすよ~。独学って言ってたけど……。独学であそこまで弾けるのかって思っちゃって……。何でもこなすなんて……ホントに羨ましいですね」
「あれ?」
山下先生は遠くを見ながらそう呟いた。
「はい?」
「星野のピアノは独学じゃないはずですよ……」
「えっ?」
私は山下先生を見た。
独学じゃない?
どういうこと?



