「彼氏と旅行?」
「えっ?」
私は隣にいる星野くんを見上げた。
「当たっちゃった?」
星野くんがクスッと笑う。
「…………星野くんには関係ないでしょ?」
「そうだね……。俺には関係ないことだね」
あれ?
何か星野くんの顔が悲しそうに見える……気のせい?
「先生?」
「ん?」
「帰るね」
「あ、うん……。気をつけてね」
「うん。じゃーね、先生」
「さようなら」
星野くんは準備室を出て行った。
私もそろそろ帰ろうかな……。
パソコンの電源を落として"パタン"と閉じると、パソコンを鞄に入れた。
準備室のドアの鍵を中からかける。
音楽室に続くドアから音楽室に入った。