「あ、ゴメン……。俺に何か言おうとした?」
「…………うん。星野くんってピアノ好きなの?」
「別に好きでも嫌いでもないけど?」
「そっか……。昨日もここに来てピアノ弾いてたから、ピアノが好きなのかなぁって……」
窓を開け終えた私は、まだ何も書かれてない綺麗な黒板にもたれ掛かった。
「俺はただ、音楽室に行きたいと思うから来てるだけで……。ここに来るのに理由っている?用がなかったら来たらいけない?」
星野くんは鍵盤を指でタッチしながらこちらをチラッと見た。
「そういうわけじゃ……」
「じゃーいいじゃん」
星野くんは私を見てニッコリ微笑んだ。



