音楽室のドアを開けた。
やっぱり……。
昨日と同じようにピアノを弾いている星野くんがいた。
ピアノの音が止まる。
星野くんが椅子に座ったまま、笑顔でこっちを向いた。
「また……」
星野くんを見て思わず、そう呟いてしまった。
「来たらいけなかった?今日はサボりじゃないよ?」
確かに星野くんの言うことは正しい。
音楽室を使ったらダメという決まりはない。
それに今は放課後だし……。
「そうだね」
私はそう言ってクスッと笑った。
「星野くんさぁ……」
「あっ!名前、覚えてくれたんだ」
星野くんが私の言葉を遮って嬉しそうに言った。
「そりゃー……星野くんは生徒だからね……」
閉められていた窓を開けながらそう言った。
昨日、名前を聞いたばかりだし……。
昨日、聞いたことを忘れるような年でもないし……。



