朝食を食べ終えた私たちは、それぞれ仕事に行く用意をした。
ここを出る時は別々。
和彦が先に出て、私が後に出る。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
玄関でそう言葉を交わす。
またしばらくは会えなくなる。
頻繁に会うと関係がバレる可能性があるから……。
和彦と会えるのは、月に2回くらい。
「また連絡する……」
「うん……」
私は目線を落として返事をした。
「そんな顔、すんなって!」
和彦が私の顔を覗き込むようにして言った。
「だってぇ……」
「来月のゴールデンウイークに旅行へ行こうか?」
「ホント!?」
私が顔を上げる。
「あぁ」
そう言って、優しい笑顔で頭を撫でる和彦。



