「どうする?」
もう1回聞いてみた。
「アイツと別れて、紗英と結婚する……かな?」
"アイツ"とは奥さんのこと。
私の前では奥さんのことは名前で呼ばない。
「ホント!?」
「あぁ、生まれてくる子供と紗英と3人で幸せに暮らすよ」
和彦が微笑みながら私の髪を撫でる。
私もニッコリ微笑んだ。
でも……心の中は複雑だった。
子供が出来たら奥さんと別れる。
子供が出来ないと、奥さんとは別れないと言っているようなもん。
和彦は奥さんと別れる気はないのかな……。
そんなことを考えてると、
「実はな……」
と、和彦が言ってきた。
「えっ……何?」
「アイツとは別れようと思ってるんだ……」
「えっ?」
私は目を見開いて和彦を見た。