海陽と再会して5年の月日が流れた。
「奏音(カノン)?パパ、迎えに行こうか?」
リビングでオモチャのピアノで遊んでた奏音が、オモチャのピアノを弾く手を止め、こちらを見て微笑んだ。
「奏音?おいで?」
私が手を広げると、奏音は走って私の元へ来て、胸に飛び込んだ。
4年前、私と海陽は結婚した。
小さな教会で2人きりで。
1年後に小さな命が誕生した。
海陽に良く似た女の子。
名前は奏でる音と書いて奏音(カノン)と名付けた。
今は、私が学生時代から教師をしていた時に住んでいたマンションに親子3人で住んでいる。
海陽はピアニストとして世界中を飛び回り、私は自宅でピアノ教室を開いていた。