えっ? 今、後ろから声が……。 私の名前を呼ぶ声が……。 私は、ゆっくりと振り返った。 私の前に立っていた人……。 笑顔で私を見ている人……。 「…………かな……た……」 目の前に、ずっと会いたかった人がいる。 愛しい人がいる。 見開いた目から一筋の涙が伝った。 「紗英さん……」 海陽がゆっくり私の前まで歩いてくる。 「会いたかったよ……」 私の前に来た海陽はそう言うと、私の体をギュッと抱きしめた。